タイに住んでいながら日本でも話題になった本作見たことなかったので、動画配信サービス<U-NEXT>のポイントで無料鑑賞。
ハッキリ言ってかなり面白かったです!あんなにハラハラドキドキさせられて最後も綺麗にまとめて、やるじゃんタイランド!でした。(何様)
タイの映画はテレビのコント番組の延長みたいなコメディとホラー作品が多く、本作のような気合の入ったエンターテイメント作は珍しいと思います。
本記事では本作の感想と最後にネタバレ、ヒット後の出演者のその後を語っていきます。
目次
- 作品情報
- あらすじ
- ネタバレなし感想
- 一言感想
- ネタバレ
作品情報
邦題:『バッド・ジーニアス』(日本公開済み)
原題:ฉลาดเกมส์โกง (Chalard Game Kong 意味:Chalard=天才 Game=ゲーム Kong=騙す)
監督:ナタウット・プーンピリヤ
出演(キャスト):
リン – チュティモン・ジョンジャルーンスックジン
バンク – チャーノン・サンティナトーンクン
グレース – イッサヤー・ホースワン
パット – ティーラドン・スパパンピンヨー
リンの父 – タネート・ワラークンヌクロ
あらすじ
成績優秀の天才少女のリンは、海外留学の夢を叶えるため奨学金を獲得して名門高校に入学。そこで出会ったグレースと友達になるが彼女の成績は悪く、リンはグレースの勉強を手伝いをしていた。
ある日の試験、グレースは一定の成績を納めないと演劇部の活動を禁止される約束をしていたが、リンの指導も虚しく本番になって回答を忘れてしまう。リンのとっさの判断でグレースに回答を教えてしまった。
無事及第点を獲得したグレースは、この経緯を恋人のパットに話す。パットはリンに報酬と引き換えに試験の回答を教えるよう提案。その報酬の高さにリンは提案を快諾し、ピアノの手の動きで回答を教える方法を考案。このアイデアは見事に機能し大成功。
しかし、カンニングの事実を知った天才少年バンクによってカンニング事業の雲行きは怪しくなる。リンたちの不正は学校側に知られてしまうのか、そして夢の海外留学へ行けるのか・・・
ネタバレなし感想
ハラハラレベルはタイ版『オーシャンズ11』
本作の見所の1つのカンニングシーン、最初にグレースを助けるシーンから最後のカンニングシーンまで、これでもかとハラハラドキドキさせられます。
これはハリウッドの大ヒット強盗映画『オーシャンズ11』にも負けずとも劣らないハラハラさ。これを試験のカンニングという題材で実現させたのはアイデア勝ちですね。
正直最初はお金を使って成績を買うという考え方が好きじゃなかったし、ピアノのコードでカンニングなんて現実的にできるわけないだろうという懐疑的な目で見ていました。だから、序盤は「カンニング失敗しろ」と心の中で叫んでました笑
それでも、途中からカンニングの緊張感とリンとバンク二人の天才の背景を見ていたらいつの間にか応援する側に回ってました。(カンニングさせてもらう側に対しては「こんにゃろう」でしたが)
起伏が激しいストーリー展開もあり2時間があっという間、エンターテインメント作品としてかなり楽しめました。
最近のVFXで楽しませる映画から距離置きたい人に勧めたい映画です。
タイにはびこる悪しき伝統を風刺
僕はタイに住んでいてタイの良い面悪い面も見てきました。
本作では格差社会に対するメッセージが込められていると思います。
優秀な頭脳を持つリンとバンクは、決して裕福ではない家庭の出身で、自力で名門高校に入学。対してグレースやパットは親の財力(賄賂)で入学。
現在のタイも状況は変わらずお金さえあれば、どんなに勉強ができなくても名門校に入学できてしまいます。
不公平ですよね。サッカーの話ですが、昔はタイ代表になるためにはお金が必要だったようです。(今は違います)
そんな悪しき伝統を映画という媒体でモザイクなしで発信したのはとても好感が持てました。
映画一本でこの伝統が変わるわけではないですが、タイの富裕層が牛耳るメディアでこういうことを発信してくれる人がいて嬉しかったです。(僕は日本人ですが)
今タイでは選挙が盛り上がってますが、立候補者はみんな胡散臭いです笑 賄賂の匂いがプンプンする笑
お父ちゃん優しい
リンのお父さんの優しさにグッときました。
オーストラリアから帰ってきたリンに嘘を信じていたお父さんがかけたセリフ「彼氏と一緒に飯行こう」には思わず涙が。
本作唯一の善人じゃないかな。
キャストの現在
大ヒットした本作の出演陣。今では人気俳優・女優になっていると思いきや、現地ではその後あまり見かけることがありません。
その原因の1つがタイのテレビならではのルールがあるからです。
日本の俳優・女優はそれぞれ芸能事務所に所属し、テレビ局や映画会社から依頼を受けて仕事をします。
しかしタイでは、テレビ局が俳優・女優と直接専属契約を結び、自局の番組に出演させます。そのため、他局の番組に出ることはタブーとなっています。面白いですよね笑
本作のメインキャストの4人はバンク役の俳優を除いて、テレビ局と専属契約を結んでいないためテレビや映画に出演する機会が少ないです。
個人的にグレース役の子が長澤まさみに似てて好きだったんですが。
一言感想
– タイ版『オーシャンズ11』
– カンニング映画の金字塔
– タイの悪しき伝統を風刺している作品
– ある意味ハッピーエンド
– 男性外国人試験管が恐かった
– お父ちゃんいい人
– 世の中そんなに甘くない
– VFXドンパチ映画に飽きた人にオススメ
– お金かけなくても良い作品は良い
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以下ネタバレを含みますのでご注意ください。
ネタバレ
ネタバレあらすじ
バンクの暴露によりカンニングがバレたリンは父親と共に校長に呼ばれる。海外留学の話は取り消し。奨学金も剥奪される。ここで賄賂の話を校長にブチまけるが、覆らず。リンは諦める。
学校の処分にショックを受けたリンだったから、グレースからSTICという国際的な大学入試テストのカンニングを提案される。断るつもりだったがカンニングのやり方を閃いたリンは、提案を受ける。そのアイデアは世界同日開催の試験をオーストラリアで先回りして受けその回答をSNSでタイに伝えるというもの。
パットが他の客も募集し報酬総額は1000万円ほど。しかし、カンニング実行のためにはもう一人の天才であるバンクが必要とリンは言う。
その時不幸にもバンクはゴロツキに襲われ入院。そのため大学の奨学金試験を受けられなくなった。母親と小さい洗濯屋を切り盛りする貧しい家庭のバンクは、リンの提案に渋々同意。リン、バンク、グレース、パットの4人は準備に取り掛かった。
試験は全部で4部に別れており試験会場には携帯電話の持ち込み禁止、途中退室は即失格となるため、リンとバンクは半分ずつ回答を覚える必要があった。各部終了後に予め隠しておいた携帯で覚えた回答をタイに送る。タイではその回答をバーコードで暗号化させ鉛筆にはり各受講者に配るという手はず。
準備が整いオーストラリアへ出発前夜、パットがゴロツキを雇ってバンクを襲ったことが発覚。殴り合いの喧嘩になりバンクは、その場から消える。リンもパットの行動にショックを受けSTICの件から降りようとしたところ、バンクが現れ「リンが始めたことだ最後まで責任を持て」と言い二人はオーストラリアへ飛び立った。
試験当日、厳重な監視の元試験スタート。2部まで問題なく進めてきたが、3部の後トイレに長時間こもっていたバンクの不正が見つかってしまった。リンはバンクの分も回答する必要となるが、ピアノのコードで回答を覚える秘策を打ち出し覚えることに成功、仮病を装い途中退室し試験管に追跡されるも全ての回答を送ることができた。タイの受講者たちには回答付きの鉛筆が配られ無事任務達成。
しかし、成功と引き換えにバンクが犠牲になり、自身も疲れ切ってしまったリンは、タイの空港で待つグレースとパットに分け前はいらないこれ以上協力はしないと言い放つ。外では父親が待っており、グレースがとっさについた「彼氏(バンク)とオーストラリア旅行に行った」といの嘘を信じ「今度バンクとメシにも行こう」と伝える。リンは抱きつき号泣する。
カンニングしたタイの受講者は、好成績を獲得し祝福パーティー。リンはバンクからのメッセージを受け、彼の家に向かうと新調した洗濯機が並んでいた。そして、バンクがもっとお金を稼ぐためリンに協力を求めるも、改心したリンは断る。自分だけカンニングが見つかって面白くないバンクは、協力しないなら全てを暴露すると言い放つ。バンクが「最後まで責任を持て」と言うとリンは「そうね私次第」と行ってその場を離れた。
舞台はSTICの事務所と思われる場所、リンは父親と座っていた。父親から「大丈夫だ」と励まされ向かったのは、カンニングに対するインタビィー。インタビュアーの「準備はいいか?」の問いに、リンは「はい」と答えた。
ネタバレ感想
途中から感情移入してリンとバンク頑張れとは思っていたけれど、これってカンニングだし良くない事だよな?と言う思いもありました。
そこのところは最後にリンが白状する事でハッピーエンドでは終わらず、カンニングした受講者たちにもキッチリ罰が下される最後はとてもスッキリしました。(そこまでの描写はないの想像で補完)
本作の登場人物がほとんど悪人ってのも面白いですね。ストーリー通じての善人がリンの父親のみ。善人だったはずのバンクも最後は金の亡者と化し、リンは改心すると言う皮肉も面白い。途中恋が芽生えるかとも思ったんですけどね。
本作はカンニング映画の金字塔と言ってもいいのではないでしょうか。そもそもカンニング映画の数が少ないのは置いといて。
日本のカンニング映画といえばこちら。あの安室奈美恵が唯一出演した映画で元TOKIOの山口達也とのダブル主演と今では100%実現しないラインナップ。
当時子供だった僕の頭に『That’sカンニング』と言う語呂のインパクトが強くて今でも覚えてます。でに未鑑賞です。
こんな面白い作品があったなんて、タイ在住映画好きとして恥ずかしい。
これからはタイ映画にもっと目を向けようと思います。
特に本作のナタウット・プーンピリヤ監督は注目ですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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